第86話 『旅だち』
(株)セントラルホテルチェーンの売却が決まった。以前より買収を持ちかけていた佐橋社長の会社ではなく、隣県でビジネスホテルチェーンを展開している会社である。独自のマーケティングシステムを保有しており、稼働率が […]
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(株)セントラルホテルチェーンの売却が決まった。以前より買収を持ちかけていた佐橋社長の会社ではなく、隣県でビジネスホテルチェーンを展開している会社である。独自のマーケティングシステムを保有しており、稼働率が […]
「かしこまりました。私としては何ら異存ありません。むしろ、支配人やスタッフのことを考えると、ホテル経営が分かっている方にリーダーシップを取ってもらった方が良いでしょうね。」 館課長は、自身のストーリー通りに物事が進む際の […]
もともと道元を伊東社長に紹介したのは、メインバンクチェリー銀行企業支援室の島崎部長であった。最初に紹介されてからずいぶん時間が経ったような気がしていた。 「島崎部長、大変ご無沙汰しております。」 省エネということで館内は […]
河南フロントマネージャーは、チェックアウト後の空き時間を使ってホテルシステムでルームアサインの作業を手際よく行っていた。ビジネスホテルにとってまとまった時間の取れる貴重な時間帯であった。この時間帯を逃してしまうと集中して […]
「道元さんから見たとき、うちの4つのホテルはもっと儲からんかね。」 試すような目をして伊藤社長は道元にたたみかけた。 「年商が約1,200百万円でEBITDAが10%しかありませんから、120百万円。CAPEX は一旦お […]
(株)セントラルホテルチェーンが立地するW市に一番古く歴史あるシティホテル がWグランドホテルであった。ちょっと今では古めかしい外観のグランドホテル であるが、その重厚な雰囲気と広大な庭園を併設する贅沢な作りは老舗たる風 […]
「千島さん、千島さん、聞いてますか。」 D店支配人の塩崎はぼーっと考え事をしている千島支配人に呼びかけた。 「あぁ、塩崎さん、どうした。」 「どうしたじゃないですよ。ぼーっとして。疲れているんですか。」 千島支配人は、目 […]
千島支配人は、昨日の道元の言葉を繰り返し反芻していた。 「もっと、表面に現れないお客様の奥底にある気持ちや感情を見るようにしてみ たらどうだろう。君なら分かるはずだ。」 そして、リピート率か。 客室稼働率も上がり、アンケ […]
道元は、旗艦店であるA店に来ていた。 「千島支配人。A店の最近の課題は何ですか。」 いつもふらっと訪れては、とりとめのない話をして他店の巡回に行ってしまう道 元であったが、今日はまじめな質問をしてきたことに少し驚きを感じ […]
旗艦店であるA店支配人の千島は、人事考課の結果を改めて見直していた。目の 前にある評価は、いわば数字から導き出されたものであるため、自身でも納得の いくものであった。いや、納得せざるを得ないといった方が正しいかもしれない […]