コンシェルジュノート

2016/05/09 コンサルタントコラム

【ホテル・旅館】きらりと光る売店を目指して 第1回:ホテル・旅館における売店の位置づけ

今月より3回にわたり、ホテル・旅館の売店に関する話をします。
第1回目はホテル旅館における売店の位置づけに関する話です。

ホテル・旅館の売店と言えばどんなことを思い出しますか。
おみやげ、飲料、お菓子、トラベル小物などが並び、夕食前後やチェックアウト
時などはお客様が品定めなどで賑わっている。売店と言えばそんな光景が思い出
されます。

お客様が売店を訪れる理由は何でしょうか。

「職場用おみやげで良さそうなもの何かないか?」
「自分用に何かおもしろい(美味しい)ものはないか?」
「部屋で軽く飲むのでお酒とおつまみが欲しい」
「ひげ剃り忘れてきちゃった」
「いろいろな商品をみてワクワクしたい」
「暇つぶし」

様々な理由が考えられます。お客様の来店理由にできるだけ対応するような店づ
くりをしていきたいものです。

では、お客様に喜んでもらい、多くの売上を確保するためにはどんな店づくりを
すればよいのでしょうか。答えは「ショップコンセプトに沿った店づくりをして
いく」です。シンプルですね。ショップコンセプトとは売店の基本的な考え方で
あり、ターゲット、品揃え、販売方法を決定する指針です。品揃え、レイアウト、
プロモーション(イベントコーナー設置、POP作成、陳列場所決定、装飾など)。
売店運営には様々な取り組みあります。PDCAサイクルを回し、施策に迷ったとき
に拠り所となるのがショップコンセプトです。経営幹部はもちろん担当者がこれ
を共有することで、全員が同じ方向・目的を持って店づくりに取り組むことがで
きます。宿自体にもコンセプトがありますが、役割として似ている部分がありま
す。

しかし、このショップコンセプトがしっかりと定まっていないケースがコンサル
の現場で多いように感じられます。そもそもショップコンセプトが無い、有って
も組織内で共有されていない、有っても宿自体のコンセプトとの関連が薄いなど。
そのため、どんなお客様に向けた店内装飾を行えばよいか、レイアウトをどうす
ればよいか、どんな商品をたくさん並べればよいかなどを考える基準があいまい
になりがちです。当然ですが売店には面積の制約があります。レジ係、在庫管理
などに投入できるマンパワーも同じです。先ほどお客様が売店を訪れる理由を考
えてみましたが、すべての理由に対応することは難しいと考えられます。そんな
とき、取り組みの取捨選択や優先順位を考える基準になるのがショップコンセプ
トなのです。したがって、売店運営をしていくためには前提としてショップコン
セプトを定めることが重要です。ご自身の関係する売店について、ショップコン
セプトがどのようになっているのかを一度確認してみましょう。

ところで、ショップコンセプトを確認するときに考慮することがあります。それ
は宿のコンセプトとの整合性です。売店はホテル・旅館の付帯施設です。付帯で
ある以上は宿のコンセプトを実現する場でなければなりません。宿が目指すター
ゲット、展開する宿泊プラン、サービスの提供方法と方向が合ってなければなり
ません。イメージとしては、宿のコンセプトを円に例えると、ショップコンセプ
トがそっくりその円の中に入る感じです。そもそもショップコンセプトが無いと
きはもちろんですが、有る場合でも宿のコンセプトと方向が合っているかを念頭
に置きます。その上でターゲット、品揃え、販売方法を考えていく必要がありま
す。このような方法でショップコンセプトを策定・修正した後は、ぜひ明文化し
て組織内で共有してください。売店担当をはじめ経営幹部、他部門スタッフにも
ショップコンセプトを理解してもらうことにより、様々な取り組みに関するPDCA
サイクルの有効性も高まります。

さて、ショップコンセプトと売店の位置づけを確認した後は、具体的な売場づく
りについてみていきます。