コンシェルジュノート

2014/08/13 コンサルタントコラム

平成26年度観光施策(観光白書)からヒントを掴む
《コンシェルジュコラム》インバウンド最新動向 (2)
(執筆: 塚平和実)

前回は平成26年度観光白書からインバウンド最新動向をみてきた。
ポイントとして紹介したのは次の3つ。

  • 訪日外国人旅行者はアジアが4分の3を占め中でも東南アジアの伸長が著しい
  • 外国人宿泊者数は各業態とも増加傾向である
  • 外国人宿泊者数伸び率は地方によってバラツキがある

我が国全体としては確実にインバウンドが増加しているものの、地方によって入込にバラツキがある現状が見てとれる。つまり、インバウンドの取り込み方や対応について悩みを抱えている地方観光地や宿泊施設が多く存在するものと考えられる。

観光白書は3部構成になっているが、第3部では観光施策(観光に関して講じた施策 講じようとする施策)がまとめられている。訪日外国人旅行者数をより増やすために国(=観光庁)が実施すべき施策がずらっと並ぶ中、注目は「第5章 外国人旅行者の環境整備」である。
特に、第2節の「滞在しやすい環境の整備」には比較的多くのページが割かれており、ここに悩み解決のヒントがあると筆者は考えている。

取り上げられているトピックスは、以下の7つである。

(1) 多言語化対応の改善・強化
(2) 観光産業の外国人旅行者の対応の向上等
(3) 観光案内機能の強化
(4) ムスリム旅行者への対応
(5) 訪日外国人旅行者の利便性向上
(6) 外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充

各トピックスについて、平成25年度に講じた施策、平成26年度に講じようとする施策が記載されている。

この中には(2)で取り上げられている「ツアーオペレーター認証制度」、(3)で取り上げられている「通訳ガイドの質・量の充実」などの施策がある。
2つの施策とも重要度が高く、現場の観光事業者にとってメリットが多いと考えられる。
しかし、個々の観光事業者がこの2つを自分自身の施策として実施する場合にはある程度時間が必要であり、ネットワークづくりといった基盤構築も重要である。

一方、観光事業者単体でも比較的利用取り組みやすいのは、(1)で取り上げられている「多言語化対応の改善・強化のためのガイドライン策定」、(5)で取り上げられている「無料公衆無線LAN環境の促進」、「決済環境の充実」、(6)「外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充」である。

これらは、外国人の観光現場における情報獲得手段を確保することで情報環境を下支えするとともに、観光施設、宿泊施設、飲食店・みやげ品店などで実際にお金を使ってもらう上での障害をできる限り取り除くための手段として有効である。

さて、観光白書では施策実施者は国(=観光庁)であり、国としての視点で施策は記載されている。
では、個々の観光事業者が実施者として取り組んだ場合にどのようなことができるだろうか。第3回では、個々の観光事業者が取り組める施策について考えていきたい。