コンシェルジュノート

2011/06/07 コンサルタントコラム

ホテル旅館の経営者の憂鬱

 地方のホテル旅館の経営者と話をしていると、最近良く聞く会話がある。

 「これを機会に、商売やめようか。」

 旅行業者の旅館連盟や地元旅館組合などの会合で経営者同士が交わす会話である。今や社交辞令になったぐらいではないかと思える。

 確かに、ホテル旅館業界を取り巻く環境は非常に厳しい。日経ビジネスは、震災前後で家計消費の変化を調査している。それによると、旅行に関する消費は、何と被災地で▲36.6ポイント、間接被災地で約▲20.0ポイント、被災地以外でも約▲11.0ポイントとなっている。これは、ギャンブルよりも大きな落ち込みとなっており、家計消費項目の中でもダントツに減少している。「こんな時に旅行なんて・・・。」が、国民が抱く大勢の気持ちなのであろう。

 この感情は如何ともしがたい。原発問題に起因する風評被害及び今夏に発生するであろう計画停電などの要因が、更に旅行への動機を減退させている。そもそも、ホテル旅館業界は、縮みゆく人口に伴い市場の縮小傾向は長期的に続くであろうし、市場を拡大させる切り札であったインバウンドも数年の期間で戻りそうもない。繰り返すが、環境は最悪であり、この状況は時間とともに回復基調にはなるであろうが、この震災で受けた旅行消費の動向変化は、恐らくは全国民の底流に流れ続けるだろう。

 だからこそ、私は言いたい。「それでも、ホテル旅館を続けましょう。」と。

 皆さんのホテル旅館は、これまで多くのお客様に感動を与えてきた。癒やしと元気を与えてきたのである。そして、それぞれに他にはない良さがある。だからこそ、存在する意義があるのではないだろうか。こういう時だからこそ、商売の原点に戻って、あえて不確実な未来に向かって歩むべきではないだろうか。

 

おわり