コンシェルジュノート

2011/04/12 コンサルタントコラム

老舗ホテルの未来はあるのか③

 これまで見てきたように、競合環境の激化および賃料を巡るオーナーとの意見齟齬の2点がホテル仙台プラザを閉鎖に追い込んだ主な要因である。この競合環境の激化については、実は地方都市にあるシティホテル全てが抱える問題点である。何もホテル仙台プラザだけの問題ではないのである。

 果たして、老舗のシティホテルはこの問題を解決し、成長し続けることが出来るのだろうか。そもそも老舗にどれほどの価値があるのだろうか。そもそも老舗が生き残る価値はあるのだろうか。ふっと、このような疑念にとらわれてしまう。

 私が関わった老舗のシティホテルを見たとき、いつも気になることがある。それは、「老舗」に対する経営者と顧客の見方のギャップである。経営者は、「うちのホテルはこの地域では一番古くて、地元の名士のみならず数多くのVIPに使われてきました。地域に必要な存在なのです。」と言う。一方顧客からは、「確かにきちんとしたサービスと料理は出てくるよ。だけど、いつ行っても変わり映えしないし、何となく全てが古くさいんだよね。もう今じゃ年配の人しか使わないんじゃないの。」と言う声が漏れ聞こえる。

 実はこれが、良い意味でも悪い意味でも老舗が老舗たる所以なのである。

 

つづく