コンシェルジュノート

2011/02/28 コンサルタントコラム

ホテルオーナーの視点を考える③

 では所有・経営・運営のそれぞれの機能において顧客満足と収益性の機能を両立させることが出来るのはどれなのであろうか。

 繰り返しになるが、オーナーはその十分な役割を果たすことは難しい。なぜなら、ホテル運営の本質を理解しておらず、どうしても資産の投資効率性を重視してしまう傾向が強いためである。そしてこの点においてオーナーは非常に大きな役割を果たしている。三井不動産や森トラストなどの不動産企業や国内・外資問わずホテル投資を行っているファンド企業を見ればよく分かる。

 一方運営会社もこの役割を持たせるには不十分である。オーナーと対極にあるこの企業は、ホテル運営の本質を理解しすぎているがために、どうしても顧客満足を重視してしまう傾向が強い。これはどのオペレーターを見ても分かることである。

 

 果たして、顧客満足と収益性のバランスを取りながらステークホルダーのリターンを長期的に捉えることが出来るのは、経営の機能を持つ企業しかない。いわゆるホテルに特化したアセットマネジメント企業である。なぜなら、所有と運営の両方に関与できる唯一の企業であるためである。但し、現状は、この相反する視点の両立を図っている企業が少ないことも事実である。

 このホテルに特化したアセットマネジメントは、所有・経営・運営に機能分化していなくてもホテル経営を考える上で、非常に重要な機能なのである。ホテルのオーナの視点を考えてみると、結果として顧客満足と収益性を両立させるためにはアセットマネジメントという機能を強化していく必要性が見えてくるのである。

終わり