コンシェルジュノート

2011/02/15 コンサルタントコラム

ホテルオーナーの視点を考える②

 しかし、これはホテルが提供すべき本来のもの、顧客満足であり、喜びであり、人生の大切な時間の演出であり、このようなものを蔑ろにしてしまうことにも繋がってしまう。このようなリスクを記事では指摘している。そして、顧客満足と収益性のバランスを取るためには、オーナー、すなわち所有のプレーヤーが主導的な立場を取るべきであるとしている。

 

残念ながら、オーナーが主導することは出来ないのではないかと私は感じている。オーナーは、森社長のインタビューにもあるように、本質的にはホテルは儲からない、と考えているからである。儲からない事業に一所懸命取り組む理由がないのである。そして、ホテルビジネスの本質を理解しているとも思えない。

 

では、所有・経営・運営一体型、帝国ホテルのようなホテルが良いのか、と言うことにもなる。確かに帝国ホテルは1万人ユーザーが選ぶホテルの1位となっている。やはり、長期的かつ顧客起点の発想をベースとしたビジネスモデルを実現しているのであろうか。だからこそ、顧客からの支持も得ながら、ある程度の収益性も確保しているのであろうか。

帝国ホテルのような伝統ある強力なブランドを維持しているホテルは別格であるが、全国的に見て、今後は所有・経営・運営の機能分離が広がっていく流れは変わらないのでないかと考えている。なぜなら、消費者ニーズの激しいそして多様な変化を捉えて収益性を上げていくためには、それぞれの機能に特化したプロが必要となるからである。もはや、これまで通りの経営や運営をしているホテルは生き残れないのではないだろうか。

 

             つづく