コンシェルジュノート

2012/12/11 コンサルタントコラム

出口戦略(7)

 金融円滑化法が終了するにあたり、金融機関の中小企業に対する対応はどうなるのか。

 私自身も多くの金融機関関係者の方々とコミュニケーションを取ってきたが、大雑把に言えば、「地域金融機関の基本的なスタンスは、これまでと余り変わらない」というものである。但し、これは金融円滑化法以前にも、リスケなどの対応を積極的に行ってきた金融機関に多いように思える。再生に積極的に関わっている金融機関は、円滑化法以前からこのような対応を取っており、円滑化法が終了するからと言ってそれまでの対応を急に変えることはないと言うことであろう。

 しかしながら、金融円滑化法があったからこそ対応してきた金融機関あるいは再生に余り積極的に関わってこなかった金融機関は、対応を変えてくる可能性がある。法律にある努力規定として対応せざるを得なかったが、動機が働かなくなる可能性があるからである。

 

このような金融機関がメインバンクの場合にはどうすれば良いのであろうか。

 この場合は、企業自ら国の機関である中小企業再生支援協議会や外部の企業再生専門家に相談するべきであろう。中小企業自身が出来ることは限られている。また、収益改善を着実にこなしていくには知見が不足していることも多い。このような状況において、約定の変更に応じず、収益改善を促して絞り出したキャッシュフローから細々と返済を要請する金融機関では、ホテル旅館の継続性は、まず見込めない。

一方、再生に値するホテル旅館とは、あくまで事業性が見込めるものに限られることには注意を要する。つまり、営業キャッシュフローから投資キャッシュフローを引いたフリーキャッシュフローが十分にプラスになることが再生の最低条件である。逆を言うと、フリーキャッシュフローが一定条件を満たす返済原資を賄うぐらいにプラスになる可能性のあるホテル旅館は、残すべきなのである。

 

金融円滑化法が終了するまでのこのタイミングで、外部の専門家から見て事業性があるかどうかを見てもらう意味は非常に大きいように思える。特に、再生支援に消極的な金融機関をメインバンクに持っているホテル旅館は、この重要性は増すと思われる。

おわり