コンシェルジュノート

2012/11/13 コンサルタントコラム

出口戦略(6)

 出口戦略には3つの柱がある。

1つめは、金融機関によるコンサルティング機能の更なる発揮である。これまで以上に、外部専門家等も活用しながら支援していく事が金融機関に求められている。しかしながら、現実として、金融機関にはそれに割く人材と時間が不足している。また、特に事業面における支援ノウハウが不足している。

 2つめは、企業再生支援機構と中小企業再生支援協議会の機能及び連携の強化である。特に、中小企業にとって中小企業再生支援協議会の機能の強化が重要である事は論を待たない。いわゆる簡易型と呼ばれる、デューデリジェンスの省略により簡易経営改善計画を2ヶ月で策定するというものである。これにより数多くの企業の再生支援を進めていくことが求められている。平成24年度に3,000件を目指すとあるが、現実的にはとても達成不可能な状況である。何故なら、この簡易型は金融機関が主体的に関与するとなっているものの、コンサルティング機能の発揮と同様で、経営改善計画の策定を行うための人材と時間、ノウハウが不足しているからである。

 3つめは、事業再生支援の環境整備として関係機関によるネットワークを構築したり、事業再生ファンドを設立したりする事である。事業再生ファンドは、現在雨後の竹の子のように各地に設立が積極的にされている。これまでの再生ファンドも同様であったが、それぞれのファンドに事業再生のノウハウがあるかどうか、大きな懸念点となっている。

 このように、出口戦略の3つの柱はどれも、大きな問題点を抱えており、一筋縄ではいかない状況であることは間違いない。しかし、来年の3月は必ずやってくる。それでは、厳しい状況にあるホテル旅館は今後どうしていけば良いのだろうか。

 

 

 

つづく