コンシェルジュノート

2010/04/26 コンサルタントコラム

顧客満足を高めるためには②

 ホテル部門における顧客満足度の評価は、スーパーホテルが76.5で帝国ホテルの75.3を上回り1位となっている。詳細な数値は省くが、スーパーホテルが帝国ホテルに勝っている評価項目は知覚価値とロイヤルティである。つまり、価格的な価値観が圧倒的に高く、継続的な利用意向に繋がっていることが分かる。ここで、注意しなければならないのは、知覚価値というのは単に価格が安ければよいと言うわけではないことである。品質に対する価値、すなわちコストパフォーマンスや値頃感がお客様にとって評価されていると言うことなので、品質が伴わなければならないと言うことである。

 スーパーホテルでは、「安全、清潔、ぐっすり眠れる」をコンセプトにしており、無駄なものは排除して眠りにはとことんこだわったホテルである。

フロント近くには色とりどりの枕が並んでおり、硬さなどが異なる6種類の枕から好みのものを選べる。パジャマやスリッパは大学と共同で開発した血行をよくして眠りを深める効果のあるものを使用し、ベッドは通常のビジネスホテルのものに比べて幅広く長く硬さも2種類から選べる。また、防音については廊下や隣室からは一切物音が聞こえないほどであり、ファンの音がうるさいことが多い冷蔵庫も静音タイプを使用している。

 一方、ノーキー・ノーチェックアウトシステムと呼ばれるビジネスモデル特許を取得しているシステムがあり、煩わしいチェックインとチェックアウトを自動で行えるようになっている。携帯電話が普及しているため客室には固定電話もない。スーパーホテルをご覧になった方はお分かりであろうが、外見は決してホテルらしいとは言えない。どこかの無骨な鉄筋アパートみたいである。これは、宿泊客はチェックインする時は夜で、チェックアウトする時には振り返る人も少ないため、外見にはこだわらないという考えたためである。このようにして合理化を図っており、オペレーションコストのみならず建設コストも大きく低減しているのである。

 何と分かりやすいホテルであろう。削れるところは削っているため自然と販売価格は安くできる。しかし、眠りにはとことんこだわる。私はホテル・旅館のコンセプトには、「キレ、わくわく感、分かりやすさ」の3つが必要であると常々申し上げているが、スーパーホテルにはキレと分かりやすさが飛び抜けてある。これが結果的に知覚価値を高めて、ロイヤルティに繋がっているのである。

 多くのホテル・旅館は多大な設備投資が出来ないのではないだろうか。その場合には、ハードに頼らずにソフトで勝負する方法がある。それは、知覚品質と知覚価値を高めることを念頭に置きながら、新たなコンセプトを設定して、商品やサービス、プロモーションにおいて差別化を図ることである。そして、この方法で売上を上げていくことは可能なのである。